By ノスケ・はる・あまね
日本全国で子供の数が減少しているのにも関わらず、発達障害を抱えるとされる子供の数は、年々増加しているということをご存じでしょうか?障害のあるなしに関わらず、全ての人が暮らしやすい社会を築くためにはどうしたらいいのか?それを一緒に考えていくために
今回、特別支援学校教諭の「平熱先生」に取材をしてきました!
取材目的「障害を抱える子供の為に、これからの教育現場ができることは何かを考えるため」
プロフィール
平熱(へいねつ)
主に知的障がいを抱える子どもたちが通う、特別支援学校の先生。特別支援学校での日常を、ユーモアあふれる文章で発信し、子どもが障がいを持つ保護者をはじめ子育て世代から絶大な支持を受けています。
SNSでの発信だけではなく『「ここ塗ってね」と画用紙を指差したわたしの指を丁寧に塗りたくってくれる特別支援学校って最高じゃない?』、『特別支援教育が教えてくれた 発達が気になる子の育て方』の2冊の本を出版しています。
目次
- 教員になったきっかけ
- どんな高校時代だった?
- SNS発信について
- なんで「平熱」なの?
- 時間確保のコツ
- 「やっててよかった」と思うこと
- 部活ってあるの?
- 通常級との違い
- 今後挑戦したいこと
- 高校生に向けてのアドバイス
- 「特別支援学校の先生」を目指している学生へのアドバイス
- 取材を終えて
- SNSリンク・著書
教員になったきっかけ
ノスケ:こんにちは、今日はよろしくお願いします!
平熱先生:はい、よろしくお願いします。
ノスケ:早速ですが、インタビューを始めさせていただきます!平熱先生が教員になろうと思うようになったのはいつ頃ですか?
平熱先生:学生の頃から教師になりたいと思っていたわけではなく、成り行きみたいな感じで教職に就きました。
わたしは大学3年の時点で卒業単位を全て取ってしまったので、残り一年やることもないし、折角だから教員免許を取っておこうか。くらいの気持ちで免許を取得しました。
大学を卒業して、まず一般企業で働きました。企業を退職したあと、教育委員会から電話がかかってきて講師の依頼をされたのが特別支援学校だったんですよ。
最初は非常勤の講師として仕事をしていましたが、教員採用試験に合格し、今は教諭として働いています。
ノスケ:そんな経緯があったんですね、、!
どんな高校時代だった?
はる:平熱先生は、どんな高校生時代を送っていましたか?
平熱先生:高校生の頃は、部活と勉強もやりつつバイトに勤しんでいました。部活は強い運動部だったので練習もかなりハードでした。加えて進学校だったので毎朝6時に起きて学校に行って補習をして、部活終わりには塾やバイトへ。
家に帰る頃には23時とかになってましたね。正直、教員をやっている今の生活よりも忙しかったです。
はる:なるほど、文武両道だったわけですね
SNS発信について
あまね:特別支援学校での仕事を、X(旧Twitte)で発信するようになったのは何故ですか?また、発信するときに心がけていることはありますか?
平熱先生:そうですね、これは初めて言うことなんですけど、実は大学生時代にブログを書いていたんですよ。そのブログが案外人気が出て。
「あぁ、自分の文章が誰かに届いているんだな」と感じるようになった経験がきっかけのひとつでした。
また、発信するときは、真面目なツイートと、おふざけなツイートが、丁度いい感じのバランスになるように心がけています。自分の直近の投稿なんかも結構見返していて「あぁ~最近真面目なことが多いな」と思ったら、ちょっと面白いことを言うようにしたり。逆に「ちょっと最近おふざけが多いな」と思ったら真面目な投稿をして締めるようにしています。
あまね:いわれてみれば、確かにそうなってますね…!
なんで「平熱」なの?
ノスケ:何故「平熱」先生というペンネームなんでしょう?
平熱先生:そうですね、わたしは先生になるまで「教師って、教育に身も心も捧げないとできないものなんだろうな」と思っていたんです。でも、いざ自分が教師になる機会を得られたときに、自分はいわゆる「熱血教師」にはなれないだろうな、と感じて。それに対するアンチテーゼとして「平熱先生」というネーミングにしました。平熱で先生が続けられたらいいなぁと思っています。
時間確保のコツ
はる:先生としてのお仕事もしながら、執筆活動を続けられている平熱先生ですが、時間を確保するためのコツとかがあればお聞きしたいです。
平熱先生:コツは「同時にできることは同時にやっちゃう」です。例えば、音声コンテンツで情報を入れながら洗濯や料理を済ませたり。限られた時間を有効活用することを心がけています。
はる:なるほど。よければ、1日のタイムスケジュールもお聞きしたいです!
平熱先生:だいたい6時半ごろ起きます。最新の情報をまとめて仕入れるためにサブスクで読み放題になってる雑誌を数冊読み、ラジオを聴きながら朝の仕度をします。
8時半まえに学校について、17時くらいまで働く。食事やお風呂を済ませて、寝るまでだいたい3時間くらいは空き時間ができます。その時間の使い方にも、神経を注いでいるつもりです。
「やっててよかった」と思うこと
はる:先生の仕事をする中で、「やっててよかった」と思う事はなんですか?
平熱先生:なにか大きいことを達成できた瞬間ではなく、日々の小さな喜びをわたしは大切にしているので、「やっててよかった」とガッツポーズするような「大きい喜び」っていうのは、そんなに感じてないかもしれないです。
部活ってあるの?
ノスケ:特別支援学校に、部活動はあるんですか?また、平熱先生は部活動の指導に関してどう思われていますか?
平熱先生:特別支援学校に部活動は基本的にないです。ですが、部活動はやりたい子供とやりたい大人でやればいいのにな~、と思っています。部活動をやりたくない子供、やりたくない大人が混じってて、本来の勤務時間外で無理にやらされるのは正直気の毒だなぁと。
ノスケ:確かに、部活動が嫌で学校に行けなくなる子もいますし、SNSでは部活動指導に関する、先生もネガティブな意見を見たこともあります。部活を頑張りたい生徒も、別のことを頑張りたい生徒も、自分らしく学校生活を送れるようになったらいいですね。
通常級との違い
はる:通常級の学校と、特別支援学校で最も違う点は何ですか?
平熱先生:ひとつ挙げるとすれば、「特別支援学校には(事実上)教科書がない」ということです。決められたカリキュラムがないので、その分、授業の構成は教師の裁量に任せられます。
はる:なるほど!子どもたち一人ひとりに合った授業ができるということなんですね。
平熱先生:はい、コミュニケーションが円滑に取れる生徒なら、生徒の方から「これが知りたい」「こんな授業してください」と言ってきてくれることもあります。それが必要だと思えば、わたしもそのことをイチから勉強して、ロジカルに授業ができるように準備をします。
今後挑戦したいこと
ノスケ:平熱先生が、今後新しく挑戦してみたいことはありますか?
平熱先生:そうですね。わたしのSNSをフォローしてくれている人は、おそらく、特別支援教育に興味がある人だったり、障がいを持つ子どもの保護者さんだったりが多いと思います。
そういった方々が、発達が気になる子を育てる上でのリアルな情報を交換することができるコミュニティを作りたいですかね。現時点でX(旧Twitter)のフォロワーさんが8万人ほどいるにも関わらず、どうしても情報がわたしからフォロワーさんへの一方通行になってるのがもったいないなと。わたしがいなくとも、同じような価値観や、求めている情報がある人たちが繋がれる仕組みを作れたらうれしいです。
ノスケ:いいですね!世の中の特別支援教育に対する理解が更に深まったり、子育ての悩みを相談することができず困っている人を助ける事もできると思います!
高校生に向けてのアドバイス
あまね:進路選択を迎える高校生へ向けて、ひと言アドバイスをお願いします。
平熱先生:日常生活において「ここはどうしてこうなっているんだろう?」「ここはこうしたほうがもっと良くなるのでは?」といった疑問やアイデアを持つように心がけてください。与えられたもの、当たり前にあるものにもいろんな疑問を持って接する視点は、教師だけではなく、全ての職業に必要なものだと思います。仕事は「自分の得意」でだれかの役に立ったり、だれかを救ったりするためのものなので、そんな経験をたくさん積んでほしいです。
「特別支援学校の先生」を目指している学生へのアドバイス
ノスケ:最後に、「特別支援学校の先生」を目指している学生に向けてのアドバイスもお願いします。
平熱先生:そうですね。わたしは「この障害にはこういう特性があるから、こういう風に環境を整えて、こういう支援をすればいい」みたいな、特別支援学校の教員としてのスキルは、働きながらでも養うことができると思っています。あとどれだけ知識があっても、現場に入って直接子どもたちと関わらないと分からないことも多いです。
それよりも学生時代に優先しておいてほしいのが、文章を作ったり、スライドで資料や教材を作ったりといった、パソコンやタブレットを使った知識や技術を磨くことです。色々な年代の人が働く職場においては、パソコンやタブレットを使った仕事は、どうしても若手に回ってくることが多いです。なので、そういったスキルを身に着けていると「職場の頼れる存在」になれるかもしれません。ベテランの先生たちが苦手なことが多い分野で存在感を発揮できると働きやすくなるかもなので!
ノスケ:若手ならではの武器を持て、ということですね!精進していきます!!
取材を終えて
実は、私ノスケの将来の夢は特別支援学校の先生なので、今回は自分の憧れの人に取材をすることができて本当によかったです。自分が通っていた普通級の学校と、特別支援学校はなにがどう違うのかということを知ることができました。「当たり前」を疑う視点をもって日々生活していきたいと思います。
SNSリンク
・X(旧Twitter):平 熱(@365_teacher)
・Instagram:平 熱(365_teacher)
著書
・「特別支援教育が教えてくれた 発達が気になる子の育て方」
・「ここ塗ってね」と画用紙を指差したわたしの指を丁寧に塗りたくってくれる特別支援学校って最高じゃない?